こんにちは藤です(^^♪
ケアマネになって、プランを立てるときに本人の自立支援を意識したいけどどうやったらいいか悩む
実際の介護事例を通して自立支援を学ぶことでスキルアップできます!
なぜなら、実際の介護事例を通して考えることで、より実践的な自立支援を効率的に学ぶことができるからです
自己紹介
藤 介護業界25年 介護のことならなんでもお任せ!
地域包括支援センターの主任介護支援専門員をしています
介護福祉士 介護支援専門員 の資格を持っています!
この記事では、自立支援の基本的な知識について解説し、実際の事例(僕が体験したものもあります)を通して、自立支援をどのように展開していったらいいのか、どんなスキルがあれば自立支援を達成できるのかを解説していきます
この記事を読むことで、高齢者介護の自立支援についてさらに深く理解でき、より自立支援を意識した取り組みができるようになりますよ(^^♪
介護における自立支援とはなにか?
まず最初に自立支援とは一体何かという基本的なところをおさらいしてみましょう
自立支援という言葉
自立支援 (じりつしえん)は、対人援助における対象者の自立に向けた支援をいう。 介護福祉 の分野においては対象者の ADL (日常生活動作)の自立に向けた支援などを指して用いられることが多いが、身体的な自立に限らず精神面での自立を支援することや、対象者の主体性や意向を尊重することも自立支援に含まれる。
自立支援 – Wikipedia
ウィキペディア先生はこのようにお話しされています
自立支援とは主に人との関わりの中で行われるもので、まさにその人がどんな状態(障害等)であってもより良い人生にするために支援する事なんですね
自立の3つの意味
そして人の自立とは大きく3つに分けられています
- 身体的自立 → 体がどんな状態でも、自分で行うことができること
- 精神的自立 → 自分で決めるや自分の考えを持つといった思考をもって行動できること
- 社会的自立 → 社会に出て一人で生活することができる、会社、地域、学校等に属すること
これらはそれぞれ、密接に関わりあっておりこの3つのどれかが欠けてもいけないとされています
例えば
身体的に障害が起こり体が動かなくなる→精神的に落ち込み閉じこもる→社会に出ていけなくなる
そしてまた障害の程度が進行してしまい、身体的自立が損なわれていき・・・というように悪循環に陥ってしまいます
高齢者の場合は特に障害がなくてもこの状態に陥りやすい傾向にありますね
自立支援という尺度の違い
そしてもう一つ考えなければいけないことは「自立支援は人によって解釈が違う」ということです
なぜ考えなければならないかというと、自立支援を展開していく場合、支援する側、される側、その周囲の人たち、それぞれの価値観の違いを十分配慮しなければならないからです
例えば
支援する側は「介護者は体が動けるようになって自分でできたほうがいい」と思っていても、支援される側は「いくら自分でできても時間がかかりすぎるからそこは手伝ってもらいたい」と思っていたり、周囲の人たちは「自分でできる様にならないとだめ」といったようにそれぞれの価値観のちがいで意見が分かれてしまい、本当にその人に必要な自立支援は何かがずれていってしまう
というようなことが起こる可能性があります
どこを持って自立支援とするか
では、私たちの支援のどこを持って自立支援とするのか?その軸となるものを解説していきます
要介護度
これは介護保険や障害福祉サービスに関して言えることですが、制度上のその人の介護や障害の程度が改善されて、要介護度や障害認定が軽くなることは結果、その人の自立が達成されたことになります
なぜなら要介護度等は純粋に「介護の手間」の尺度を図っているものなので、それが改善されることは自立支援がうまく働いている証拠になるからです
例えば、要介護2の方を想像すると「骨折などで歩くのが不自由になり、歩行器などがなければ行動できない」と予想できますが、リハビリや日常的な動作を練習することで杖で歩けるようになったとすると介護度としても、要介護1あるいは要支援に改善するということは容易に想像できますよね
また、最近では介護保険制度でも、科学的介護推進体制(通称LIFE)なるものが2021年度の制度改正で新たにできたばかり
これも、通所サービスでの機能訓練が実際どのくらい効果的に働いているのかを測る目安として取り入れている側面があります
このことからも介護度の改善や実際、生活にどのように効果的に働いているのかが今問われているのです
ADLの自立
介護度の変化でもお話ししていますが、歩けなくなったのが歩けるようになったといったような目で見てわかる自立の部分を見ていくことは重要です
なぜなら、単純に目で見てわかりやすく、本人が自立に向けて実感しやすいところだからです
例えば、歩行器や車いすでしか歩けなかった方が、杖などでスムーズに歩けるようになるということだけでも、リハビリや機能訓練といった自立支援の効果が表面的に表れることですし、そのおかげで外出やできなかった部分(家事とか調理など)ができるようになってくればそれは本人のQOL(生活の質)の向上に大きな影響を及ぼすことになりますよね
自分で意思決定する
もしその方の障害が改善されなかったとして、そのできない部分は誰かの支援を必要とする状態であったとしても、生活の様々な行いやその先の人生を自分で決めていくことは自立支援をしていく上で欠かせない要素です
なぜなら自分の生活をどう組み立てていくか、先の人生をどのように生きていくかを自分自身で決めてもらうことは身体面の自立だけではないその人の生きていく権利を尊重する考え方だからです
例えば車いすの生活を余儀なくされたとしても、自分で自由に外出して様々なことに挑戦したいという意向があったとして「障害があるからそれはできない」と他人が決めてしまうのではなく、そのことを達成するためにはどうしたらいいかを一緒に考えていくといった思考が重要になってきます
介護場面で自立支援を考えていくには?
簡単に解説すると以下のような手順になります
- 本人がどんな生活をしていきたいか 「意向確認」
- そのためにはどんなことを達成すればいいか「目標設定」
- その目標を達成するためには何をすればいいか「具体的対策」
ここで一番重要なのは最初の意向確認です
なぜかというと、ここで本人や家族、支援する側の価値観のちがいという問題をできる限りかけ離れたものにしないようにすることが大切だからです
前でお話しした「自分で意思決定する」とお話ししましたが、それぞれの価値観がずれているとその後の対応もずれていってしまい場合によって本人の思っていることから支援内容が外れていってしまう可能性があります
そうならない為にも関わるもの同士でしっかりと話し合う必要があります
介護の場面における自立支援の事例
ではここで実際の事例を説明したいと思います
事例を読むことでイメージもわきやすくなりますね
うまくいった事例①
右大腿骨骨折で入院 要介護4 の認定となる
目標を本人とたてる「畑仕事を再開したい」これについては家族、関わる事業所に担当者会議で周知共通認識を持てるように配慮する
通所リハビリでの機能機能訓練と訪問リハビリで実際畑に行って歩く練習など実践的なリハビリも取り入れる
1年後、介護度が要介護1に
うまくいったポイントは本人と 目標を立てたこと
うまく本人の意欲を引き出すことができた
うまくいった事例②
脳出血で要介護3の認定
自宅での生活を選択 車いす生活で誰かの手を借りないといけない
本人が望む生活を一緒に考える
「趣味(音楽)や家族との旅行を楽しめるようにしたい」という本人の意向を確認
リハビリに意欲的に取り組む、福祉用具(介護ベッドや手すり、昇降椅子等)を使ってなるべく自分でできるところを増やしていった
自宅の2階に上がっていけない、外出は誰かの付き添いがないと行くことができない
ここは本人が一人ではできないため、家族の支援をお願いする
障害自体は治っていないが、可能な限りできるところを増やしていったことで本人の意欲の向上につながって最終的には家族や親族と共に、県外への旅行に行くことができるようになった
最初に自分の人生を自分で決めてもらった障害の受容がうまくいったことと「その人生を歩んでいく」と決意できた
うまくいかなかった事例①
一人暮らし男性 腕を骨折 要支援2の認定
当面の家事ができないため、ヘルパー利用した
その後、腕は順調に回復して腕も動かせるようになったが「一人では不安」という理由でヘルパーを続行
ヘルパーに少し依存的になってしまい 回復しても結局ヘルパーの利用は継続になっている
この場合、最初の目標設定と初期の段階で回復した後の支援についても予測して本人と話をしておくべきであった
うまくいかなかった事例②
女性 夫と二人暮らし
脳梗塞 麻痺はなかったが認知症軽度 要介護1
デイサービスなど通い始めたが 認知症状が悪化
自宅での生活が困難になり、結局区分変更をして施設サービスを利用
この場合、最初の目標設定の際に本人が認知症ということで意向確認をあまりしなかったこと、家族の意向についても何もしていなかったため、悪化の状況に合わせてすぐに施設に入所するという選択しを取らざるを得なくなってしまった
介護事例を通して自立支援を学ぶ方法 まとめ
- 自立支援には「身体的自立」「精神的自立」「社会的自立」の3つの自立があり、それぞれが深くかかわりあっている
- この3つの自立は人によって解釈が違うので、これをしっかりと話し合うなどしてすり合わせを行う必要がある
- この3つののどれが欠けているのかしっかりと本人と関わる人たち「意向確認」しながら話し合い「目標設定」して「具体的対策」を実践していく
- この繰り返しをその人の状況の変化に合わせて都度話し合っていく
このような経験を積み重ねていき、事例として毎回振り返って、本人にとっての自立支援はどうだったかを確認することによってケアマネとしての自立支援のスキルは上がっていきます
もちろんうまくいかなかった事例のように、支援の中でうまくいかないこともあります
高齢者支援において、本人の体調が悪化してしまうのはよくあること
すべてパーフェクトに支援できることはまれだと思います
しかし、本人の意向に沿ったより良い支援につなげていくことはできるはず
自立支援は実践と経験が大事 どんどん経験を積んでいきましょう
実践と経験をさらに積んでいくために転職をするのも一つの選択肢
僕の体験談を記事にしてみました👇
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